新幹線の窓の外は嵐だった。
不気味に高く見える空の暗雲は
赤黒く稲光を放っていた。
上田から軽井沢、高崎にかけて
稲妻が横に閃光するのを
この時に初めて見たのだ。
まったく皮肉なものである。
窓に顔をつけて無邪気に喜ぶ
子どもを横目に、
この先を暗示するかのような
嵐模様は、
“0-9.抑留” の続きを読むSenma Wakamei オフィシャルサイト
よくある、シリーズの過去編です。
私の生い立ちからどのようにして今に至るかが分かります。
新幹線の窓の外は嵐だった。
不気味に高く見える空の暗雲は
赤黒く稲光を放っていた。
上田から軽井沢、高崎にかけて
稲妻が横に閃光するのを
この時に初めて見たのだ。
まったく皮肉なものである。
窓に顔をつけて無邪気に喜ぶ
子どもを横目に、
この先を暗示するかのような
嵐模様は、
“0-9.抑留” の続きを読む第二次世界大戦の終戦後、
武装解除され投降した日本軍捕虜らが、
ソビエト連邦によって主にシベリアなどへ
労働力として移送隔離され、
長期にわたる抑留生活と奴隷的強制労働を
強いられた。
人的被害は甚だしく、日本人兵士57万人中、
約6万人が亡くなったという。
一方で、
“0-7.凍てつく解放” の続きを読む【0-4.スケープゴート】より、
幾度と不当な糾弾を受けた母。
ただ、一見して理不尽とも思える鉄の掟が
作られたのは、恐らくこの王家の繁栄及び、
目上を労った養老を目的とするものである。
故に、
“0-6.嵐のあとに” の続きを読む【0-3.吊し上げ】は、
一切の手抜きが感じられない、
本当に徹底した吊し上げが行われる。
そのために家族全員が寄ってたかる。
その中には他所から来る親戚の姿もあった。
“0-4.スケープゴート” の続きを読むある休日の出来ごと。
部屋で一人、ゲームをしたりおもちゃで遊んで過ごしていた。
昼過ぎから父と母が、
「ちょっとここで待っててね。」といったっきり。
夕方になっても両親が未だ帰ってこないことに不安を募らた。
“0-3.吊し上げ” の続きを読む・体裁は決して汚すべからず。
・原則、目上の者より早く夕食をいただいたり
風呂に入る、寝るなどをしてはいけない。
・人様から頂いたお土産などは必ず先に目上に
振舞ってからいただく。
・夕食は必ず自らで目利きし仕入れたものを手作りする。
(つまり惣菜やcoop共済なるものは厳禁。)
・幾ばくかのアガリ(上納金、若しくはシノギ。)を
権力者・所有者に納めること。
任侠の世界では若頭や会長などに対して
ごく当たり前のように心得ているのだろう。
格式とは、
“0-2.格式” の続きを読む1992年7月 神奈川県平塚市
この街は駅を中心に繁栄している。
自他ともにイチオシのイベントは、夏の七夕祭りだ。
駅を中心に栄え、隣には大きなモールが構えられており
それから約2キロ圏内には商店街、歓楽街、娯楽施設
などが密集し、それなりに賑やかな街ではある。
しかしそれ以外ともなると、車で5分もしないうちに
“零章 小さな王朝 0-1.小江戸の若ぼん” の続きを読む