EX.つながる過程②【→Ⅰ】

 

「はい!・・・はい、お世話になってますー。

はい、・・・どうぞ、何でしょう?

え?・・・もう一度、あ・・・はい、ああ!

それはよかったですね!あーおめでとうございます!

・・・いえいえ、冥利に尽きます、私も嬉しく思います!

・・・来週?・・・そうですか~やぁ私も早くお会いして詳しく聞きたいところですが、

何かと・・・はい、お約束をいただいておりまして、

再来週木曜の夜でしたら今のところ空いておりますが・・・?」

 

 

 

 

サーフェスの横に汗のかいたアイスコーヒー。

少し散らかした机の上に重ねて広げる

大きめの手帳を雑にめくりながら、

そんなやり取りをする黄昏時のカフェバー。

 

暖房のきいたところで一息するためと

逃げるように入ったのだが、

気の休まる気配はない。

次第にやかましくなっていく店内と

電波の悪さに眉をひそめたが、

用途に使い分けられたフリクションで

カラフルになった予定帳は、

どこもいっぱいになっていることを確認し、

ふわっと刹那に高揚する。

 

仕事なのか。否、好きなことやっているだけ。

なまじっか仕事してる感がないから、

周りに比べて自分は何をしてるんだか。

なんて思って、少し表情が綻ぶ。

それでもこれまで、まだまだ少ないけど。

着実に、いろんな人たちの役に立てて来た。

 

 

 

明日会うクライアントの日程と記録を眺めながら、

何を伝えて差し上げようか、

個人的にあの人にはこれをやりたい。

また素晴らしい答えが出るといいな。

そう、心の中を反芻する。

 

 

 

クライアントからの賛同の声に、

自分のやっていることに

何一つの怖いものがない、

自信に満ち溢れている。

自分の決めたことに向かって真っすぐ

生きている爽やかさを感じている。

「頑張れている」という実感に自己認識が

みるみる高まっていく。

 

 

 

ふか~っと白く息吹く冬空。

そしてこの年の瀬にビジネスやその資金など、

色々なことが完全解決できた、

最高の年末を過ごしたのだった。

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