「・・・♪♪♪♪♪ッ。♪♪♪♪♪!」
静寂にアラームが鋭くつんざく、午前3時。
寝ぼけた身体をゆり起こしながら、
ほんのちょっとだけ急いで支度をする。
まだ息のある眠気から逃げるように玄関を飛び出ると
まだ暗い秋の空は涼しく澄んだ空気と
爽やかな水気が鼻を通り過ぎる。
「おはよざいまぁーす、トラック行ってきまーす!」
「あいよぉいってらしゃーーい!」
外壁のボロい工場の二階、少しタバコ臭い事務所を抜け
流れるような挨拶を交わし乗り込むヒノノニトンは、
細い路地を抜けると産業道路に差し掛かる。
そこには夜明け前の街々に光る車や街頭のとばりが
少し寂し気な夜景を演出している。
ガラガラと小うるさいエンジン音を無意識に放り
YouTubeにだけ耳をやる。
ずっと受けたかったオンラインスクールの
音声収録が聞こえる。
少しずつ白んでくる遠くの夜明けと、
街灯との間に、等間隔に置かれた闇に
自分の人生に反映させて、越えていく。
「これもいつか語るべく歴史になる。」
この状況が、いずれ近い日に語れる、
僕の人生のプロセスになるという信念、
生き抜く希望を持ち、今の時点、
不安もあろうが結構幸せな心で生きている。
強がりか、リフレーミングか。
こうした日々を自分なりに楽しんでいる。
そんな逆境のさなかだった。