12.生きてるだけで

「愛をもらい、愛を与え、互いの記憶に刻まれる。

ここに存在することが、すでに生きる意味に

なってるんじゃないかな。」

土屋アンナ

 

 

 

そこにその人がいたこと。

そこに僕がいることができたこと。

ここにその会社が、その環境が、

あったら、なかったら。

 

そこにいなかった人生もあるかもしれない。

両親が、会社で出会っていなかったら。

両親の進学が関東でなかったら。

祖父母が。その親が。

出会って、結ばれて、

戦争で生きぬいていて、それから・・・

 

 

どんな宝くじに当たるよりも

気が遠くなるような確率で

ここに命をもって生きていることを

考えることがある。

 

 

 

僕の知人について少し話したい。

 

 

  

高橋かおりちゃん。

小学1年生のときの友達。学校から伸びる

広い道路の先に、ガラス張りのきれいな

バイクショップがあった。

そこの家の子だった。

 

 

 

みちよおばさん。母の従姉妹。

元タケノコ族。少しハジケた感じの

明るい人で、昔の写真見せてもらったら

けっこうキレイで驚いた。

イタリア人だったかな、

背の高いイケメンの奥さんになったそうだ。

 

 

 

平塚のおじいさん。

母の父。おじいさんだね。

やたら圧のあるオーラを放つんだ。

でも普通に優しいし、身長は僕と一緒なんだけどね。

絵を描くことが趣味で、

それこそ自分の身長ほどあるかもしれない

額縁に絵を納めて飾っていた。

 

 

 

それから母。

千帆って自分の名前をたまに嫌がってた。

「悠木千帆(後の、樹木希林)と一緒じゃん。」

つって文句言ってた。(笑)

文学的な側面でまあ博識で、

そしてとんでもないリアリスト。

幼い頃お化けを怖がっていた僕に見兼ねて

家の近くを走る産業道路に深夜連れ出された。

そして、

 

「アンタがお化けを怖がっている間

こうして働いてる人たちがいるんだけど、

この人たちはお化けを怖がっていると思う?」

 

 

妙に納得してしまった。

 

 

以来、ホラー系を全く信じない

冷めた人格の出来上がり。(笑)

母との思い出でよく覚えているのが

このやりとりなんだよね。

 

 

 

じじい

5.友のことは、三つ子の魂百までも】より、

町内会のドンだったうちのじいさん。

建具屋で自分のブランド作ってた職人気質だから、

事あるごとに何度殴られたかわからんけど、

大人になった僕のことを何より一番の頼りにしてくれた。

「お前がこの家継いでやってってくれよ!」

これ言われたとき、すげえ嬉しかった。

 

 

  

リョウガさん

行きつけのBARで知り合った一個上の先輩。

初めて会ったときは、

何だかいけ好かなくて敬遠してたんだよね。

なんか癖のある関西弁だったし。

毎週どっかでスナックの姉ちゃんママさんみんな

BARに連れだして派手にかましてるから

なんかこう・・・いけ好かなかった。汗

(自分も当初似たようなもんでしょうに。)

 

でもちゃんと話してみるとすごくいい人で、

外資の保険会社でシステム開発やってた後、

金融業界専門のSEで独立したんだって。

それから上京してきた妹を家賃かけるの

かわいそうだからって自分の賃貸の

部屋貸してたって、すげえ良い人。

歳が近かったから、何かと話が合うんだ。

「若い奴で独立しおるのこんな近くいて嬉しいわあ、

ほな一緒にぎょうさん稼いであそぼや!」

ってシャンパン奢ってくれた時、

言ってることが素直過ぎて泣きそうになった。

 

 

 

 

 

 

 

そしてもう、

この人たちはみんな天国にいるんだ。

 

 

 

誰にも会わしてやれない。

やり残した約束がある。

もう一緒に飲めない。

 

 

 

我が家族、わが友よ。

喉から血が出るほど泣きごと言ってやりたいけど、

情けはしばらく置いていくね。

 

志半ばで果ててしまった無念を忘れず、

これまでも、そしてこれからも出会っていく、

生ける人たちの想いに付き添えるよう

僕はひた進むのみ。

 

 

 

夜に布団入れて、朝起きれたら人生大成功。

誰かに愛情を伝えられたら、

一つずつ後悔が消えていく。

長い人生だから、たまに躓くこともある。

ときに逃げるその姿は無様で、醜かろう。

それでも僕は生きていたい。

 

 

 

いろんな生きてた人が、

もしかしたら生きたかった今日を

生きてるんだろうから。

 

 

こう、度々考えるようになった。

それからほとんど全てのことが

ありがたいと思うようになれたんだ。

もう一度、この地から立ち上がることにする。

そうやって、生きていくことにする。

 

 

 

人生は、

 

 

 

生きてるだけで、丸儲け!

 

 

明石家さんま

 

 

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第一章 完!

 

 

次回、過去編つづっていきます!

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